2010.10.13
感謝の日
【ラストエッセイ 第10回 ~投手 菊沢竜佑~ 】
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昨日の東京大学二回戦で一年半ぶりに神宮球場のマウンドに立つことができました。
たった1イニングの登板でしたが、私にとっては非常に意味のある登板となりました。
ここに戻ってくるために続けてきたことが一気に頭の中に溢れてきました。
私は昨年の10月20日に右肘の靭帯再建手術を行いました。
右肘の怪我は二年生時の春季リーグ戦が終わってからずっと続いているものでした。
初めはリハビリでの回復を目指しましたが、なかなか回復せず手術に踏み切りました。
手術した時は「絶対に来年のリーグ戦で復活してみせる」と固く決意していました。
しかし、手術の後の自分の右腕はご飯も食べることができず、髪さえ洗えない状況でした。本当にこの腕でまたボールを投げられるようになるのか、病院で一人愕然としたのを今でも鮮明に覚えています。
さらに順調に回復していくはずだった右肘の具合も、自分が当初思い描いていたようにすんなりと良くならず焦る気持ちも少なからずあり、先の見えない絶望感に常に苛まれていました。リハビリ入院を繰り返し、孤独の中でもがく日々が続きました。
でもどんなに苦しい状況でも私の心の中には決してブレない信念と目指すべきところがありました。
もう一度マウンドに立って投げたいという強い気持ちがあったからこそ、苦しくても悔しくても自分を鼓舞して続けてくることができたと思います。
その一心が私を支え、原動力となっていました。
辛い時に支えてくれた家族や仲間たちの存在も、私を奮い立たせてくれる大きな存在でした。
昨日の試合でマウンドに立つことができたのは、九回に投げられる場面を作ってくれた野手・投手陣のおかげであり、自分がダメな時でも支えてくれた家族、チームメイト、医療スタッフなどの周囲の人の支えがあったからだと心から感じています。
感謝しています。
投げられるようになるまでに正直面白くない思いもたくさんあったし、辛いリハビリもありました。
でも昨日神宮のマウンドに立つことができた時、全てのことが自分にとって意味のあることだったと感じられました。あきらめず、地道に続けてきて良かったと思いました。
試合の前日にメールをくれたり、日頃から声をかけてくれたり、必死に応援してくれた同期のみんなには心から感謝の気持ちを伝えたいです。
立教大学の秋のリーグ戦はまだ終わっていません。
私もどんな形でもいいのでチームの勝利に貢献できればと思っています。
四年生の集大成を発揮して、最後にもう一花咲かせたいです。