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【ラストエッセイ 第5回 ~内野手 伊藤公俊~ 】

 

 伊藤公俊 

 

 

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私は、自分にもたらされる良い結果というのは、必ず誰かのおかげなんだと思ってしまう、大変面倒な考え方をもっている。

 

ヒットを打てたのはそれまでバッティングピッチャーをしてくれた人たちのおかげであり、

 

ヒットが長打になったのは、打球に魂を乗せてくれた応援団のおかげであり、

 

好守ができたのは、打球が来やすいというデータをくれた裏方の選手たちのおかげであり、

 

日々野球に専念できるのは、マネージャーたちのおかげであり、

 

雨の降った翌日に外で練習ができるのは、早くから準備してくれる後輩たちのおかげであり、

 

落ち込んだ時に笑顔になれるのは、心から信じられる親友のおかげであり、

 

そしていま野球を続けているのは、紛れもなく両親のおかげである。

 

 

一度だけ、選手を退くことになった人から「俺のためだなんて思わなくていい」と言われたことがある。そのとき、彼のためにプレーできなかったら、何のためにプレーすればいいのかわからなくなる気がした。

 

そこで初めて自分のスタイルを見つけた気がする。

誰かのおかげで結果を出せる自分は、その誰かのために野球をするんだと。

 

以来ずっとそうしてきたわけだが、引退を間近にして私が神宮球場でプレーする機会は少ない。

だからこそ立教大学の野球部員として、優勝を目指すチームの一員として、このチームのためにできることを残さずやるだけである。

 

引退まであと少し、このわがままな考え方を貫かせてほしい。

 

そして私の現役野球人生の終わりに、私に力を貸してくれた全ての人に心から感謝したい。

 

 

 

【伊藤公俊・4年内野手・清水東高校出身】

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