2010.10.06
~大学野球でやっと見つけた自分だけのスタイル~
【ラストエッセイ 第5回 ~内野手 伊藤公俊~ 】
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私は、自分にもたらされる良い結果というのは、必ず誰かのおかげなんだと思ってしまう、大変面倒な考え方をもっている。
ヒットを打てたのはそれまでバッティングピッチャーをしてくれた人たちのおかげであり、
ヒットが長打になったのは、打球に魂を乗せてくれた応援団のおかげであり、
好守ができたのは、打球が来やすいというデータをくれた裏方の選手たちのおかげであり、
日々野球に専念できるのは、マネージャーたちのおかげであり、
雨の降った翌日に外で練習ができるのは、早くから準備してくれる後輩たちのおかげであり、
落ち込んだ時に笑顔になれるのは、心から信じられる親友のおかげであり、
そしていま野球を続けているのは、紛れもなく両親のおかげである。
一度だけ、選手を退くことになった人から「俺のためだなんて思わなくていい」と言われたことがある。そのとき、彼のためにプレーできなかったら、何のためにプレーすればいいのかわからなくなる気がした。
そこで初めて自分のスタイルを見つけた気がする。
誰かのおかげで結果を出せる自分は、その誰かのために野球をするんだと。
以来ずっとそうしてきたわけだが、引退を間近にして私が神宮球場でプレーする機会は少ない。
だからこそ立教大学の野球部員として、優勝を目指すチームの一員として、このチームのためにできることを残さずやるだけである。
引退まであと少し、このわがままな考え方を貫かせてほしい。
そして私の現役野球人生の終わりに、私に力を貸してくれた全ての人に心から感謝したい。